地球上で最も過激な格闘技「ミャンマーラウェイ」とは?(映画『A KING with a cold smile ―王様は笑わない―』)

地球上で最も過激な格闘技「ミャンマーラウェイ」とは?(映画『A KING with a cold smile ―王様は笑わない―』)

ミャンマーラウェイとは

「地球上で最も過激な格闘技」とも言われるミャンマーの立ち技格闘技・ラウェイ。
総合格闘技ファンの中には、RIZINなどで活躍する渡慶次幸平選手を通じてラウェイを知った人も多いだろう。

バンテージのみのほとんど素手で殴り合い、頭突きもOK、あらゆる反則も「わざとでなければ一回までならセーフ」。勝敗は判定なしでKOか引き分けと、MMAがさわやかなスポーツに感じられるほど野性的なルールであるにもかかわらず、どこか神聖な緊張感のある不思議な格闘技である。

ミャンマー人にとってラウェイはただの競技ではなく、伝統文化として根付いている。
試合開始前にはラウェイの神様「ナッ神」に向けて選手たちが踊りをささげ、そして試合が始まるとBGMとしてミャンマーの伝統楽器の生演奏が戦いを盛り上げる。
試合が白熱すると演奏も合わせて盛り上がるなど、日本のいわゆる格闘技とは違う、唯一無二の世界観がある。

そんな日本人からするとまだまだ未知の格闘技ミャンマーラウェイを約20年間追ったドキュメンタリー映画『A KING with a cold smile ―王様は笑わない―』が10月11日(土)から上映される。
物語の中心となるのは、約20年前ミャンマーでラウェイに挑んだ4人の日本人選手(田村彰敏、山本武晴、新美吉太郎、若杉成次)と、史上初の公式国際戦を実現させた大会プロモーターたち。

軍事政権下の不安定な空気の中、国技ともいえるラウェイで日本人選手がミャンマー人選手相手に勝利するということは、暴動の引き金にもなりかねない。
そんな緊迫した社会情勢を背景に、映画では決して再現できない当時のリアルな映像を記録した貴重なドキュメンタリーである。

『ラウェイを探して』 川端 潤 (監督)

僕は2014年よりミャンマーの伝統楽器『サインワイン』を追いかけてきた。
ひょんなことから、『ラウェイ』を知ることとなった。ラウェイは素手にバンテージを巻いただけで闘う格闘技であり、ほとんどルールがなく一見喧嘩みたいにも見えるが礼節もある。地元のお祭りなどで試合され、脈々と続き、いわば国技みたいなものかもしれない。試合の時は土着信仰のナッ神を祀り、ヤイという踊りをし、サインワイン楽団が闘いを鼓舞する。
2004年、世界では知られていない未知の格闘技に臨んだ日本人たちがいた。(田村彰敏 山本武晴 新美吉太郎 若杉成次 の4選手)映画では田村、山本、大会プロデューサーの西良典、髙森拓也、ラウェイ世界チャンピオンのロンチョーと戦った寒川直喜に軍政下で困難だった当時の試合状況を振り返っていただいた。
それと、最近のローカル試合も撮影した。製作中に再び軍政下となり撮影が一時止まりはしたがそれでも、ラウェイの謎と神秘に少しでも近づこうと試みた作品である。
揺れる大地に1000年のラウェイの謎が解き明かされる。凄身の映像の一撃を!
川端 潤 (監督) 

『A KING with a cold smile ―王様は笑わない―』上映情報

公開期間:2025年10月11日(土)〜10月24日(金)
上映場所:ポレポレ東中野
公式サイト:https://airplanelabel.com/king/
イベント情報:監督・ゲストによるトークイベントを開催予定(詳細はこちら

監督/音楽:川端潤
配給:エアプレーンレーベル/プロジェクトラム

キャスト

・髙森拓也 (ラウェイを日本に紹介 子どもNGO『懐』)
・西良典 (和術慧舟會 総師)
・Win Zin Oo (ミャンマーラウェイジムオーナー)
・Lone Chaw Gyi (元ラウェイチャンピオン)
・田村彰敏 (2004年 ラウェイに挑戦)
・山本武晴 (2004年 ラウェイに挑戦
・寒川直喜 (2009年 ロンチョーと対戦)
・Tun Tun Min (元ラウェイチャンピオン
・西麟太郎 (格闘家)
・Lethwei Fighters